【宮城】食物連鎖の逆襲
仙台に来られた食通の方々にお土産としてお奨めしているのは、仙台駅でも買える、山内鮮魚店の「アワビの肝の塩辛」です。一瓶に肝が10個ほども入っていて840円(税込)なので、呑兵衛はおとなしく言われたとおり買って帰ります。山内鮮魚店は、お店のある宮城県の南三陸(志津川)でとれる魚介にこだわり、ほとんどの商品は化学調味料を全く使わない味付けをしています。「化学調味料を使わなかったのは、志津川が遠くて調味料屋さんが売りに来なかったからなのね」と謙遜するのは山内正文社長。「旬の味の乗ったものを加工するから余計な味を加えなくともいい」のだとか。
アワビの肝の塩辛。箸先を思わず舐めてしまう美味しさ。
重宝するのは、金華山沖で取れたサバ(金華サバ)を、宮城の地酒と天然塩だけで仕上げた朝食サイズの焼き魚真空パック。無駄になりません。ほかの焼き魚も全て漁場が明記されているので、テイスティングする楽しみも。他にも仙台名物の牡蠣やホヤの瓶詰めなど美味しいものが沢山ありますが、そのなかでもアワビの肝の塩辛は、化学調味料を使っていないだけあって、瓶ごとに、肝ごとに、味わいが違います。肝一つ一つの表情を楽しみながら、ぬる燗を呑むのは正に秋の夜長の至福です。 ちなみに南三陸では、アワビの天敵はタコ。食物連鎖の下剋上だ!と憤る酔っ払いが私のまわりには多いですが、「値段の安いものが、値段の高いものを喰っちゃならん」というのは人間の尺度であって、現実にはタコは、アワビもカニも食べてしまいます。まぁ、そんな恐ろしいことを聞いても、アワビの肝と、なんならアワビを食べた美味しいタコまでも、今宵の食卓で楽しめるから、心穏やかに杯を進めることができるんですなぁ。(天野 元)
せっかくなので、アワビの肝に、タコもつけちゃいました。アワビを食べた志津川産の真ダコを炙ったもの。山内鮮魚店の「ひっぱりだこ」。
株式会社ヤマウチ 山内鮮魚店
http://www.yamauchi-f.com
※ネットでお取り寄せもできます。
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