【ゲスト/長野】農業を通して自己を見つめる
長野駅から車で急な坂道を登ること約30分の飯綱高原に、今回紹介する農業生産法人「株式会社 水輪ナチュラルファーム」があります。ここは単に農産物を生産し販売する農業生産法人とは異なる活動を行っています。母体は「財団法人 いのちの森文化財団」。普段は自己を高め、広め、深めるための講座開催や、青少年の育成を主たる活動内容とする団体です。運営者の塩沢研一さん、みどりさん夫妻には早穂理さんという、出生時の頭蓋内出血の影響で重度の障害をもつお嬢さんがいらっしゃいます。東京で生活していたご夫妻は「衣食住の見直し」と「早穂理さんと一緒に毎日をしっかりと生きる」、これらを実現するために、ふるさと近くの飯綱に移り住むことを決意しました。
写真上:ナチュラルファームを運営されている心温かい塩沢ご夫妻
ご夫妻は「自分の生活を見つめ、安全なものを食べたい」との思いから、自然農法を実践されている方に学び、数年前に現在の農地を取得し本格的に就農。現在、10名弱のスタッフと研修生が在籍し、スタッフの指導のもと、研修生が主として農業に従事しています。訪問時は、ちょうど野沢菜の播種作業中でした。水輪ナチュラルファームの栽培の特徴は「不耕起農法」、「無農薬栽培」です。耕作を最小限にすることで地力を落とさないようにし、肥料使用量を抑えます。この野沢菜は、11月下旬に仕込む野沢菜漬けの原料となります。
研修生の多くは、色々な悩みを持つ若者です。彼らはここでの作業を通して「命の大切さ」や「人間が生きている意味」を知り、「トータルな人間力」を学んでいます。栽培された野菜類は、食事の材料となり宿泊などのお客様にも供されます。私が当日いただいたメニューは、どれも華やかな料理ではなく素朴でしたが、その野菜の味わいの優しいこと。現在では農産物のオーナーを一般に募集し、愛情たっぷりの野菜をお手元に届けるシステムもあります。(三水亜矢)
農業生産法人 株式会社水輪ナチュラルファーム
長野市飯綱高原2471-2198
http://www.suirin.com/farm/fr-farm.html
写真左から:ファームで作業中の研修生/農園から財団の建物を眺める/採れたての野菜を使った料理(ズッキーニ、トマト、バジルなどを使用)
| 固定リンク