« 【北海道】 札幌でもフレンチのクラシック回帰の波が | トップページ | 【ゲスト/東京】クリスティアーノがやってくる »

2008年8月27日 (水)

【新潟】 食事とストレス

200808_1 放し飼いで鶏を飼育するために最も気をつけていることは何ですか? という質問に対し、私は「ストレスです」と答えています。人間に比較すれば体が小さい分、些細なストレスで命を落とす鶏がいることは、私達養鶏業者にとってはさほど珍しいことではありません。ストレスを蓄積しないよう、屋外にも自由に出て遊ぶことができるようにしているのを始め、様々な飼育環境の工夫は、ストレスを溜めないようにとの考慮が根底にあります。しかし、餌を与える時には、「いつでも自由に餌を食べることができる環境」だけでは、かえってストレスが溜まってしまうのです。
鶏たちに与えているのは、かぼちゃの葉と茎。畑から取ったままの状態で与えます。毎日食べているので一斉に駆け寄ってきます。

根や土がついた状態の野菜や山野草を与えることによって、簡単には食べることができないというストレスがかかると、本来鶏が生きていくために備わった「機能」がフル回転し、葉をくちばしでちぎり、硬い茎や果実はつつき、根の土を足で落としながら虫を探すなど、食べる行為に全神経を集中させることで、ストレスの発散が図られるのです。

200808_2 お金を出せばいつでも何でも手に入り、簡単に食すことのできる現在の日本の食環境。私達にとってこの何不自由のない食環境が、かえってストレス社会を増幅させているのかも知れません。果たして、自分が生きていくために、五感を集中させ、空腹をもって美味しく「いただいた」最後の食事はいつだったか、あなたは思い出せますか。(富樫直樹)
外の遊び場で、金網越しにかぼちゃを食べています。実が美味しいのを知っているからこそ、柔らかい葉よりも先に硬い実を食べるのです。

|

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【新潟】 食事とストレス: