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2008年7月14日 (月)

【ゲスト/シチリア】 古代フェニキア人から伝わるトラーパニの手作りの塩

1 トラーパニからマルサラに向けて走る海沿いの道に、7月~8月にかけて塩の白い小山を見ることができます。そう、ここ一帯は大塩田地帯。ここでは、古代から伝わる製法で、今もなお“手作りの塩”が作られています。
塩の歴史は古く、古代地中海の民、フェニキア人から伝わると言われます。紀元前の話です。ここ一帯は、“風”、“気温”、“湿度”という塩作りには欠かせない3大要素が揃い、その上、地中海はマグネシウムやヨードなどの天然成分が豊富に含まれる、この事実に目を付けたフェニキア人は、理想の地での塩作りを始めました。

塩作りが始められるのは3月20日前後。海にもっとも近く海面と同じ高さの一番目の塩田に、海水を地中海の風を利用した風車を回して引き込みます(現在は電動のポンプを使用)。一番目の塩田で蒸発して塩分を増した海水は、「Acqua Madre(アックア マードレ=母なる水)」呼ばれ、5月中旬頃、2番目の塩田に引き込まれます。ここでさらに水分を蒸発させて塩分が高まった海水は、6月下旬頃、収穫用の3番目の塩田に移されます。そして、7月、最終的に結晶化した塩が6~10センチ程度になったら収穫がはじまります。塩水を移動させるのは、次々と海水を引き込んで沢山の塩を作るため。
Salinaio(サリナイオ)と呼ばれる塩職人の手によって塩は収穫され、まず小山が作り上げられ、さらに、機械を使って大きな山となります。塩の収穫は9月下旬まで続き、その後、雨・風・埃を防ぐためのテラコッタをかぶせられ(10月から)、一冬を越し、えぐみやアクが取り除かれます。

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写真左から/塩の収獲風景:炎天下で真っ黒に日焼けした男たちが塩を収獲する。 瓦を載せている最中:一つ一つ手で瓦を載せていく。塩の山が瓦で覆われると、冬がやってくる。塩の結晶:まるでクリスタルのように白く輝く塩の結晶。

こうして手間と時間をかけて作られた塩は、どことなく甘く最高の調味料となるのです。
塩田は残念ながら車がないといけない場所にありますが、私の主催するラ ターボラ シチリアーナでは、塩田の見学ツアーも行なっています(http://www.tavola-siciliana.com/koujou/index.html)。塩田ののどかな風景を見ながら、古代のロマンに浸ってみるのも面白いかも。(佐藤礼子)

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