【ゲスト/長野】 本物を追い求めて
「食の安心・安全」が叫ばれる中、私は最近、「おいしく安全」だけでなく多くの人が忘れてしまった「昔懐かしい本物の味」に興味を持ち始めました。
それはこんな出会いから始まりました。「そば粉を自家挽きしていておいしい」と評判の大町市美麻(みあさ)の「三郷(みさと)そば店」に訪問した際、近くで栽培した菜の花から搾油した「なたね油」に出会ったことがきっかけです。初めて訪問した私にも「なたね油」のこだわり・安全性などを親切に説明頂きました。最近はカロリー控え目に加工された商品が多いので、本物に 出会えた感動はひとしおでした。最初は、山間地の標高800メートル程の地で栽培可能な「蕎麦」の産地化・新そばの季節の「そば祭り」の定着後、次の作物として「菜の花」を楽しんでもらうための活動から、「せっかくだったら搾油しよう」という展開になり、試行錯誤しながら現在の商品が出来上がったそうです。私が一番感動したことは、この製品が「脱臭剤」「漂白剤」などで処理していない「エキストラバージンオイル」であることです。色も自然そのまま。香りが高く炒め物に使うと特に香りが引き立ちます。他に「ひまわり油」「えごま油」も地元の原料で搾油して販売されています。
写真上:6月中旬頃、一面に菜の花を敷き詰めた美しい光景。7月初旬には刈取り、現在はそばの種をまき晩秋の収穫となります。/写真右:なたね油(中央)の他、えごま油(左)・ひまわり油(右)も近くの畑で栽培した原料を使用して搾油したものです。栽培にも手間が掛かっており、特に草取りの作業は大変です。
三郷そば店から一山超えたカラマツ林の中に、自家焙煎の珈琲店「美麻珈琲」があります。三人のお子さんの山村留学でこの地の自然に惹かれ、兵庫県三田の洋菓子店「サントアン」の塚口社長が一年以上の歳月で手作りした「地球にダメージの少ない建物「藁の家(ストローベイルハウス)」で営業しています。生豆を低温貯蔵できる環境を生かし、良質な豆を「煎りたて」「挽きたて」「淹れたて」の三拍子揃ったフレッシュ感のある珈琲の味が特徴です。
「美麻珈琲」は、自然に馴染むようなデザインと自然素材を使用した温かみのある建物で、来る人を癒してくれる空間となっています。ストローベイルハウス作りの作業風景。藁をブロック状にしたものを「断熱材」として壁にはめ込み、その上から漆喰を手作業で塗っていきます。
カラマツ林の小道を通り抜け自然の中に佇む店の前の丘陵地には、初夏には「菜の花」秋には「そばの花」が一面に咲き自然と共存しながらおいしく安全な食べ物をいただける環境が身近にある事に感謝しています。信州にお出掛けの際はぜひお立ち寄りください。(三水亜矢)
「美麻珈琲」
長野県大町市美麻14902-1
TEL/FAX 0261-23-1102
http://www.miasacoffee.com/
「地粉、石うすびき、手打ちそば三郷」
長野県大町市美麻新行14891-1
TEL 0261-23-1334
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