【富山】 昼競りのある漁港
競り人の独特の声と熱気、早朝の魚市場はどこも活気に満ちています。逆にお昼の魚市場は森閑としているのが相場・・・と思ったら大間違い! 射水市にある新湊漁港では朝と昼の2回競りが行われるのです。朝競りは未明までに水揚げされる「定置網もの」が多く、昼競りでは、未明から午前中にかけて水揚げされる「釣りもの」がメインなのだとか。昭和24年の開港当初は漁船が着くたびに競りが行われたそうですが、その後、朝と昼の1日2回に変わっていったそうです。
午後1時から行われる「七時(などき)の競り」と呼ばれる昼競りにかけられた魚たちは、築地や名古屋をはじめとして、射水市や富山市、高岡市のお寿司屋さん、和食店へと主に運ばれていくそうです。昼競りの魚を夕方、店に出す・・・「キトキトの魚」の所以がここにあるのでしょうね。
県内の小学生も社会見学に来る新湊漁港の昼競り。取材当日は南砺市立城端小学校の児童が社会見学に来ていました。
さて、私の家の近所にこの新湊の魚を出してくれるお店「海鮮屋たにぐち」があります。ご主人の谷口氏は代官山のイタリアンで修業をしたことがある経歴の持ち主ながら、朝から魚屋さんで働き、自ら新湊漁港で魚を仕入れ、夕方からは富山市のお店で料理を提供しています。刺身や焼き魚などは勿論、スペシャリテの「バイ貝のオリーブオイル煮ジェノバ風」は佐藤一押しの絶品! エスカルゴ・ア・ラ・ブルギニヨンヌを髣髴とさせる海のエスカルゴに乾杯!私がこの店で食べたビックリ食材といえば、鯖白子や鮟鱇卵など、新鮮であるが故に口にできるものが数多くあります。江戸前にも負けない(?)越中前の魚を、あらゆる料理人が知り、触れて、活かせるようになれば「魚を食べに富山に行こう!」というお客さんが増えるに違いない! と、常々私は思っています。(佐藤 健)
「海鮮屋たにぐち」
富山県富山市大町2区287-2
TEL076-422-4114
営業時間18:00頃~22:00頃(ネタもしくはお客さんがいなくなる頃まで)
日曜定休(新湊の祭りなどで臨時休業する場合あり)
写真上:「海鮮屋たにぐち」のある日のお造り。左上からマゴチ・〆サバ・ドンボイワシ(ウルメの大きいもの)・メイタガレイ・シロギス、とのこと。写真下:スペシャリテ「バイ貝のオリーブオイル煮ジェノバ風」。コリコリとした身、ネッチリとしたワタ、プルンとした身とワタの間の部分など、バイ貝の魅力を余すところなく表現している逸品です。
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