【東京】 レストランでの「席」
神楽坂のフレンチレストラン、「ル・マンジュ・トゥー」には、1つだけ赤い椅子があります(他は全部黒です)。そしてその赤い椅子は、ほぼフロアの中央にあります。それを初めて見たとき、昔何年かいたニューヨークでのことを思い出しました。
無理と背伸びをして、ザガットなどで評価の高いレストランに手当たり次第に行っていましたが、大抵奥のほうの席に通されました。奥が上席と思いこんでいた私は、こんな若年(30代前半で、お客さんの中では断然若かったです)のアジア人カップルを上席に通してくれるとはさすがニューヨーク、懐が深い、と思っていましたが、実はそうではなく、大規模な高級レストランではみんなから見られる真ん中か入り口近くが上席で、誰にも見られない奥は多くの場合末席だということを、帰国後なにかで読んで衝撃を受けました。
これは全くおめでたい話でしたが、「ル・マンジュ・トゥー」でも、フロア中央の赤い椅子は、注目されるべき特別な席だと勝手に解釈しました。もちろん、「ル・マンジュ・トゥー」においてよくない席というのはありませんが。その後何度か訪問するたびに赤い椅子に座る人(場所的に大抵男性)をチェックし、自分の解釈は正しいとほぼ確信しましたが、逆に、まれに自分がそこに案内されると、ただの自意識過剰ですがいつも以上に緊張し、その結果早めにアルコールが回って大変です。ソワニエはいい席を独占しないという『料理通信』の記事もありましたが、レストラン(特に大好きな)における席の問題は、なかなかに深いです。(金 信秀)
-------------------------------------------------------------------
金 信秀:都内病院勤務の麻酔科医40歳です。おいしく食事をするためにも、ランニングをほぼ日課にしています。外食は週2回ほどですが、ここと決めたらとことん派。今のとこ
ろ食欲旺盛ですので、満腹になりやすい(と思い込んでいる)西洋料理系に選択が偏りがちです。
-------------------------------------------------------------------
●読者アンバサダープロフィール公開しました。右のサイドバーからどうぞ!(管理人)
-------------------------------------------------------------------
| 固定リンク