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2008年6月25日 (水)

【新潟】 卵を産む鶏の「生」は本来寿命の8分の1。

日本には、柔らかくてジューシーな肉や、脂ののった魚が年間を通して流通しています。皆さんは、その目の前にあるおいしい食材となった、家畜や魚などの寿命を意識したことがありますか。美味しさの代償として、生き物本来に備わった寿命と、家畜や養殖の魚としての寿命には、大きな差が存在します。卵を産む鶏も例外ではありません。

本来雌鶏は、約1000個の卵を産むことができる、卵胞(卵黄の元)が備わっており、10年程度の寿命といいます。しかし家畜としては、一般的に生後約420日から450日程度で廃鶏として処分されてしまいます。生後約120日過ぎから卵を産み始め、まだ260個程度しか産卵していないのに、です。

1080617その最大の理由は、「経済的効率」。卵は物価の優等生といわれる陰で、より少ない量の餌でより多くの産卵をするサイボーグのような鶏が創り出され、狭い土地で効率的に飼育できるケージ(金網)飼い手法が確立されるなど、人間本位の「生産性の向上」を強いられてきました。これらの要因を積み上げた、「経済効率の限界点」が生後450日なのです。
何も知らない鶏たちは毎日、一生懸命「生きて」います。家畜としての鶏がいてこそ、私達人間は卵を手に入れ、食べることができるのです。今朝食べた卵は、その鶏が最後に産んだ卵かも知れません。目の前の卵料理、今のあなたならどうしますか。(富樫直樹)

写真:廃鶏として処分される鶏。自分の運命を悟ったかのように、じっとこちらを見る目が透き通っていました。

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富樫直樹:1961年、新潟県生まれ。家の前に広がる日本海と、裏手の水田や山々が生業の基本の地に育ちました。大規模企業養鶏が闊歩する中で、あえて効率の悪い放し飼い手法により、鶏が持つ野生の力を呼び起こすことで、人間の体が自然と受け入れる卵を試行錯誤で探求中です。
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